『5elements 』5. 風

今回は4つ目の要素、『風』について綴ってゆきます。


今回もポイントは3つ! 
1.地・水・火・風・空とは、どんな要素? 
2.それは身体のどの部分に優位に働いているの?心身にどう影響しているの? 
3.その要素を実感したり育んだりするための身体の使い方は? 

"風"の要素 


4番目に紹介するのは"風"の要素です。  
それは斥力によって作られた、自由に運動するエネルギーの状態です。 


上下方向に吹く流れを「気流」と呼ぶのに対して、風は左右方向、横方向に吹く流れのこと。まさに風通しよく、自由気ままに吹き抜けている。
そんなエネルギーの状態は、自由さ、開放感、オープンさ、不安定さなどなど、様々な言葉で表現することができます。 


火と呼応する身体のパーツ 

私たちの身体でこの"風"の要素を担っているパーツは"胸"です。

そこは呼吸を司る部分でもありますから、胸のエネルギーの状態と呼吸の状態はとても密接に関わり合います。ですから呼吸を今回のテーマにしたいところではありますが、このシリーズでは5elementsを感じたり引き出したりする「身体の使い方」をご紹介していますので、今回は胸のご近所にある腕や肩の使い方をお話してゆこうと思います。

呼吸については9月10月のシリーズ【瞑想ヨガ×呼吸】にてじっくり解説してゆきますね!


まず、胸というとパーツとして、胸の前の面をイメージする方がほとんどかと思います。
でも実際にヨガや瞑想で身体や皮膚の内側に風の要素を感じてみると、それは胸の前の面だけにとどまっていないことが実感できます。
身体を平面ではなく立体的に捉えてみると、胸は全面の後ろ側、背面にも広がっています。そこはパーツとしては背中、背中の上部です。

「前も後ろも胸」と広く捉えてゆくことで、この風の要素はさらに自由度を増し、開放感をまして、立体的に胸のスペース全体に吹き抜けてゆくのです。


胸の範囲を確認しよう
 1.胸の前の面
 2.胸の後ろの面、背中の上部
 3.1と2、そこ全体のスペースを指してゆきます。 

この斥力エネルギーは、胸のスペースを自由に解放的に吹き抜けているのが自然。
この風のような斥力のエネルギーから、私たちの身体や心は"自由さ”を受け取っています。
安定感とは真逆。自由とも言えるし、ある意味不安定なエネルギーの質であるとも言えます。   


 "風"を感じる身体の使い方 


ここまでのお話をシンプルにまとめます。 風の要素は分離/斥力のエネルギー。 それは私たちの身体レベルでは胸に優位に働き、心身に自由さや解放感がもたらされている、ということですね。 

では、ヨガや瞑想を行っていく際、この胸により解放の要素を育んだり味わったりするには、どのような身体の使い方をしてゆく必要があるのでしょうか。
今回は胸のご近所さんにある腕や肩の"アライメント"をご紹介してゆきます。

とその前に、大切なことをお伝えしておこうと思います。
何度もお伝えしていますが、風はとっても自由な要素、開放的な要素です。自由で開放的ということは、仕切りもない、衝突もない、際限ないということですね。
そんな胸の持つのエネルギーの質に対して「風は胸にだけ吹く」と身体の範囲を制限してしまうこと。。。私自身はすごく不似合いだなあと感じています。
だから風は、胸を優位にしながら、他のどの要素よりも自由に全身を駆け巡り、吹き抜けてゆくもののだということを、胸とか肩・首などとパーツを限定したアライメントをお話する前にきちんと強調しておこうと思います!
それをふまえて、胸そのもののはもちろん、胸に直接的に大きな影響を与える肩や首のアライメントをご紹介してゆきます。

風の要素を担う胸のアライメントを"風通しのよいオープンな状態"にしてゆくことがとっても大切です。 そのためにクラスでは、胸のスペースと、そのご近所さんにあたる腕と肩の関係性を確認しました。

 

胸の前の面も後ろの面もどちらもオープンな状態を意識する(特定の条件がない場合)

⇒腕が身体の真横よりも前を通ると、胸の背面は広がるのに全面がやや狭まる。逆に腕が身体の真横よりも後ろを通ると、胸の全面は広がるのに全面がやや狭まる、ということを確認しました。
⇒ストレッチ感による開放感・のびのびした感覚と、胸の内側からスペースが広がっていくオープンさの感覚の違いを確認しました。


腕を真横からあげたりさげたりする際、腕が胸の真横に伸ばされるよう意識して実践しました。
⇒上体が斜めになったり動いたりした途端に真横からずれてしまう方が多いため、上体が移動しても常に胸から真横に腕を広げてゆくことに意識的であれるよう実践しました。

肩の回旋をスムーズにする
⇒ただ腕を上げれば、必ず肩甲骨は首や背骨の方に寄って上がってしまう。
左右から腕を上げる際、腕の真横で手のひらを上に返しながら肩・肩甲骨の回旋をスムーズに促す実感をつかむため何度も繰り返し練習しました。


胸そのものの空間、そしてそのご近所にあたる腕や肩。
風の自由な要素を妨げないように、むしろその自由さを助けてゆけるように。
そんなアライメントに沿って身体を動かしてゆくと、その取り組み自体が、例えば堰になっていた肩そのものの詰まりや硬さをとりのぞくことにも繋がっていくし、なめらかさが失われていた腕や肩の動きそのものに潤滑油を与えていったりします。

地味なことですが、地味なことほど意識的であることがとても大切です。知識としてずっと昔から知っていたとしても、身体レベルで実感を得ることでそれはより確かなものとなってゆきます。

こういう身体レベルでの積み重ねを通じて心にその影響を広げてゆくことが、アーサナを伴ったヨガの最大のテーマ。
こんな身体の扱い方をきっかけに、自由で解放的な心の質をいつでも自分の内側に感じることができるようになるのです。



不自由さを風のように自由に捉えよう


この風の要素=自由さには、身体レベルでの働きかけと同時に、心レベルでの物事の捉え方についても大切なことをお伝えしておきます。


このことは瞑想的にヨガや瞑想を実践してゆく際にもとても大切なことだと感じています。私自身のヨガの実践においてもとても大切にしているところ、クラスをさせていただく際の最大のメッセージでもありますので、どうぞ心に留めて頂ければ嬉しいです。


例えば、身体に風の要素を感じるために、腕と肩のアライメントを丁寧に行ってみたとします。
頭で理解することで、それを身体で体現してみたところ、肩がガチガチで腕の回旋をスムーズに行うことが出来なかったとしたら、皆さんはどう感じるでしょうか?

おそらく、どうして自分は出来ないのか、肩が硬くて良くないなあ、嫌だなあ、なんで?怒。
真剣にトライしているほど、そんなネガティブな想いが湧いてくるかもしれませんね。

そんな時、風の自由な要素は私たちの心に吹き抜けているでしょうか?

まず最初にネガティブな感情が湧いたとしたら、起こっている事実とそれを受け取る私たちの心との間には斥力のエネルギーがある状態。そして、ここが超大事ですよ!!⇒それが悪いということではないんです。

トライした⇒目指すようにならなかった⇒ネガティブな感情が湧いた。
このあと感じることや対応してゆくことが、その時内側に吹き抜けている風の自由さが問われるところだと思います。

トライした⇒目指すようにならなかった⇒ネガティブな感情が湧いた。
その結果、
1.そしてがむしゃらに肩をグイグイと力ずくでストレッチ、即応戦。
2.そうか、そうなのか。硬いんだな、回旋がスムーズでないな。事実を確認、把握。

風の自由さを味わうためのアライメントを通じて、自分の身体がそのことに適応しきっていない事実を目の前にしたそんな時。その一連のすべてのことを見守ること、寄り添うこと、受け入れていくことで、心に自由な風の要素を感じ続けてゆくことが出来ます。

目指す方向(肩の回旋をスムーズにしたい)からするとトライすることで実感したそうではなかった事実は、「不自由」のように思えるかもしれません。でも、それは単なる事実です。その事実を、そのありのままを「不自由」に変えているのは、その事実と戦って、その事実に扉を閉ざした私たちの捉え方です。


「すべてを自由に解放しておくこと」はヨガや瞑想の大きなテーマです。
でもそこに向かう道のりには「不自由で意のままならないこと」がたくさんあって、むしろそこからどう自由になり、解放されてゆくのか、その不自由さをどう捉えるのかを理解できたら、いつだって心を自由に開放的にしておくことが出来ます。

瞑想的なヨガの答えは二つです。

不自由を自由にするために

1.受け入れて寄り添う

2.今できることを精一杯する


この順序もポイントです。

不自由さを全身全霊で受け入れたなら、そのことに今、自分のままに寄り添ったなら、さて次はどうしよう?って反応は自然と湧いてくるのです。答えはすでに自分の中にある、というのはこういう意味です。


回旋がスムーズでなかったという事実と、それを受け取る心をぶつけない。そこで湧いてきたネガティブな感情や感覚と、それを受け取る心をぶつけない。そうであることを受け入れることで、心に自由に風は吹き抜けてゆきます。
そしてその上で、でもやはり自由な風の感覚をいつでも味わえる自分に向かってゆきたいから、日々肩をほぐすアーサナに取り組んでみよう、日常でもちょっと気遣ってみようと、今できることを導き出してゆく。

自分の中の想いの源からそれを確かに受け取ることと、頭だけを使って答えを考えることは似て非なること。(でも思考は素晴らしい能力!感じてから考えよう!!)
だから、この順序も大切です。


不自由さに縛られない自由な心。こうじゃなきゃ!!って思い込みの檻から解放される。
マットの上は、自分自身に対してそんな素晴らしい体験を積み重ねて行ける場なのです。

ヨガを通じてこのような物事との向き合い方が出来る場面が増えたことは、私自身の人生においては本当にステキなヨガからの恵み、生きる上での知恵だと感じます。だからみんなに少しでも伝えてゆけたらと思います!!


物質や環境や時間がくれる自由と同じくらい、
私にとってはそれ以上に価値が有る、心の自由。心の解放。
私たちはいつだって、自由に吹き抜けるこの風を感じることが出来るのですよ!!


1harmony yoga

yoga and meditation